ビジュアルに価値ある提案を

今回、堀内カラーが担当した
キューバ作家たち

~ 彼女、私、そして彼らについて ~

著名なファッションフォトグラファーでありキューバ革命のオフィシャルフォトグラファーだったコルダ、セルフポートレートを撮影し個人と社会の関係性を浮かび上がらせるペーニャ、キューバの歴史的瞬間を段ボールで再現し撮影した作品やLGBTを被写体にした作品を発表するゴンザレス__世代の異なるキューバの3人のアーティストを祇園の雑居ビルの各階で展示。キューバの歴史と今、そして写真と芸術の魅力に迫る。

アルベルト・コルダ

アルベルト・コルダ | 彼女についてAlberto Korda | About Her...

1928年ハバナ生まれ。1959年のキューバ革命のオフィシャルフォトグラファー。1960年に撮影したチェ・ゲバラのポートレートでその名を馳せる。革命前後の1954~1968年にかけてファッションやコマーシャルフォトをきっかけに女性のポートレートを多数撮影。キューバの社会・政治的側面が近代から現代への歴史的変遷を遂げた時代を最も象徴する人物の一人である。

  • アルベルト・コルダの作品
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title:【 彼女について 】

革命という新しい政治状況における女性美の発見というテーマに取り組み、1950年代のハバナのグラマラスでボヘミアンなライフスタイルの女性たちから、コルダが「新しいタイプの美」と称した、1960年代初頭の政治活動に参加する女性兵たちまで、革命の激動性と、女性の美しさという、対極にある事象とその相関性を精力的にとらえた写真。

ドレスやワンピースを着た女性たちと、対比するように展示されている軍服で銃を持つ女性たち。革命前後の激動の時代を生きた女性たちを美しく切り取った一枚は、どれもいきいきと生きるチカラにみちていました。

ルネ・ペーニャ

ルネ・ペーニャ | 私についてRené Peña | About Me...

1957年ハバナ生まれ。社会主義が国際的に崩壊していく時代に多感な時期を過ごし、理想と現実とのはざまを目の当たりにしたペーシャは、個人と社会との関係性に重きをおき作品を制作。1990年代初頭から数々の個展を開催している。

  • ルネ・ペーニャの作品
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title:【 私について 】

女性の装いも含まれるセルフポートレートを撮影し構築された各シーンは、自らの意思とは関わりなく、非常に社会的な存在としての個人を自らのボディを通して演じている。そこには、ここ最近のキューバという国が抱える物的環境や不規則性、二重規範、不寛容、価値観の喪失、ジェンダーの対立、社会的不平等などの問題が繰り返し刻まれている。

自らのボディをキャンバスとした作品は、ときに力強く、ときに物悲しく、見る側にさまざまな感情を喚起させます。モノクロのトーンの中で一際目をひく頭に赤いリボンをまとった作品。これは、まだ黒人がバレエをすることに例をみない時代、家族の反対を押し切り娘がバレエをはじめ、数年後に見事オーディションに合格したとき、合格証書のリボンをまとったもの。社会の偏見に負けない強さと、父親の愛にあふれたエピソードが印象的でした。

アレハンドロ・ゴンサレス

アレハンドロ・ゴンサレス | 彼らについてAlejandro González | About Them...

1974年、ハバナ生まれ。独習のアーティストとして19世紀のハバナにおける無情な自然や、不安定な時空間、個人を記録したドキュメンタリー写真の永続性に関心を抱き、それまで誰からも語られることのなかった物語や社会区分に存在する空白に着目し、作品制作を続けている。

  • アレハンドロ・ゴンサレスの作品
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title:【 彼らについて 】

政治的慣習に疑問を呈し、経済が生み出す幻想や目に見えない荒廃やデマゴーク(扇動)を浮かび上がらせ、その独自の視点は「彼ら」の存在がなんたるかを見る者に語りかけてくる。本展では、キューバ革命を段ボールで再現し撮影したシリーズ「再構築」と、LGBTを捉えた作品を展示。

キューバ革命を段ボールで再現し撮影したシリーズ「再構築」は、なんでもCGで合成できる時代に、段ボールでミニチュアをつくって撮影するという手の込んだ作品は、独特な世界観で風刺をきかせたとてもユニークなものでした。革命後に訪れたユートピアにも今なお差別や偏見などさまざまな問題があることを、モノクロとカラーの作品で効果的に描かれていました。

展示会場で直接作家さんに感想を聞いた

堀内カラー プリンティングディレクター 石橋泰弘

堀内カラー プリンティングディレクター
石橋 泰弘

第7回となる今回、本来であれば作家さんにお会いして、作品制作に対するリクエストや作品などに対する思いなどを伺うのですが、今回はキューバの作家さんということで、送られてきたデータを見て、インスピレーションと経験則をもとに「ファインアート」で出力しました。今回の作品の中にはビンテージプリントをスキャンしたものもあってデータに波がありましたが、それを追い込んでいき、3人の作品に一貫性をもたせることに留意しました。

< 作家の感想 >

アルベルト・コルダ

アルベルト・コルダ

すべての作品が50年以上前に撮影されたもので、展示作品のうち6枚だけがネガから、それ以外はネガがなくなってしまい何度も再現されたプリントからスキャンしたものなので、仕上がりのバラつきなどを心配しましたが、全体的に一貫性のある、とても満足のいく仕上がりでした。特にゲバラを撮影したネガには黒ピンがあったのに、それがきれいに消されていたのには感動しました。(本展キュレーター:クリスティーナ:ヴィヴェス談)

ルネ・ペーニャ

ルネ・ペーニャ

展示作品の中には数枚ネガで撮影したものや、今ほど性能がよくない初期のデジカメで撮影したものがあったので、大きく引き伸ばしたときにどうなるか不安でした。特に今回の作品の中にはプリントの難しいものがあり、選ぶのをやめようとしましたが、実際の仕上がりを見て、この作品を選んでよかったと思いました。

アレハンドロ・ゴンサレス

アレハンドロ・ゴンサレス

たいていの場合は、僕がイメージしていたものとトーンが違ってしまうため、どんな仕上がりになっているかいつも不安を抱きながら会場を訪れるのですが、今回はとても満足のいく色味で表現されていて、特に緑のトーンが僕のイメージ通りに出たのはこれが2度目です。

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